11月11日(金) 青木陽介氏 「東日本大震災:その科学的メカニズムと今後の地震・津波対策のありかた」

 

学習院女子大学 荘林幹太郎教授ご担当の「地球環境論II」の特別授業として、東京大学地震研究所の青木陽介先生によるご講義「東日本大震災:その科学的メカニズムと今後の地震・津波対策のありかた」が、開催された。

 

青木先生は、地震学者にとっても「想定外」の規模で起こった3月11日の東北沖地震について、地震がどのように発生するかをはじめ、そのメカニズムについて、大変わかりやすくお話しされた。

 

日本は地球上の0.1%程度の面積でありながら、10~15%の地震が日本で発生している。日本を含め、地震が頻発するのは、限定的な地域である。つまり、地震は局在しているのが現実であるが、これは地球上に10~15のプレートが存在しており、それが移動していることに起因している。日本は4つのプレートにまたがって位置している。

 

青木先生は、震度、マグニチュード、余震の時間変化等について説明されながら、地震学の多くの研究は経験的に積み重ねられたもの、つまり、物理的に完璧な説明に常に基づいているわけではないということを話された。これは、地球科学、地震学という学問が、「実験できない」「地球」を扱っていて、実体験できるものを分析する研究分野であるからと、先生は、説明された。

 

地震に関わる研究が始められて100年余りとなるが、この期間、東北沖地震レベルの地震が発生したのは、5回である(1952年 カムチャッカ M9.0、1960年 チリ M9.5、1964年 アラスカ M8.4、2004年 スマトラ島沖 M9.0、2011年 東北沖 M9.0)。そのため、大地震に関わる研究は限定的である。

 

メディアで、しばしば、東北地方におけるマグニチュード8を大きく超える地震の発生は想定外であったと報道された。青木先生のご講義の中でも、この「想定外」であった説明がされた。先生は、プレートの年代と沈みこみ速度にもとづくと、マグニチュード7、8程度は予測されたが、マグニチュード9レベルの大地震は、まったく想定しなかったと、話された。しかしながら、スマトラ島沖地震の際も、その規模の地震は予想されていなかった経験をした時、「予想できない大地震」の存在について気づくべきであったことも、繰り返し、述べられていた。

 

日本では、文学の記述を通して、昔発生した地震の記録をたどることができる。869年、平安時代初期に発生した貞観地震が、しばしば取り上げられるが、この震源域は小さいため、津波の高さなどははるかに低い。つまり、東北沖地震は1000年に1度どころではない、もっと長い年月に1度の、本当に巨大な地震だったのである。

 

青木先生は、同じデータを用いて、異なる結論を導きだしている研究を取り上げながら、地震に関わる研究の難しさを話された。また、首都圏での大地震の発生率は70%とも言われていることを挙げ、これは科学的根拠は乏しいながらも統計的には、可能性が高いことも指摘された。「想定外」の東北沖地震の発生は、地震学の既存の枠組みでは説明できず、地震学の理論体系が大きく変わる可能性がある。

 

最後に、地震に対する備えの重要さを確認され、授業を終えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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